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なぜ塗りマスは「約1km四方」なのか

コラム — 地域メッシュのはなし

市区町村単位だと、なにが困るのか

「地図を塗りつぶすゲーム」を作るとき、まず思いつくのは市区町村を1つの塗り単位に することです。実際、ちずぬりえも開発の最初期は市区町村単位で塗っていました。 ところがすぐに問題が見えてきます。行政区画は、広さがあまりに不揃いなのです。

たとえば日本でいちばん広い岐阜県高山市は約2,178km²で、東京都全体(約2,194km²)と ほぼ同じ広さがあります。一方、日本でいちばん狭い富山県舟橋村は約3.5km²。 その差はおよそ600倍です。市区町村を1単位にすると、「高山市を1回訪れる」のと 「舟橋村を1回訪れる」のが同じ1マスになってしまい、歩いた量とゲームの進み方が まったく釣り合いません。都市部はあっという間に塗り終わり、山間部は1つの市を 塗るのに何日も歩くことになります。

統計の世界には「地域メッシュ」がある

この「地域の大きさが不揃い」問題は、ゲームよりずっと前から統計の世界で知られていました。 人口や産業のデータを市区町村ごとに集計すると、広い自治体と狭い自治体を同じ土俵で 比べられません。そこで日本の統計では、緯度・経度に沿って国土を網の目(メッシュ)状に 区切る「地域メッシュ」という仕組みが使われています。 約80km四方の第1次メッシュを8×8に割った約10km四方が第2次メッシュ、 それをさらに10×10に割った約1km四方が第3次メッシュです。 国勢調査の人口メッシュデータなどでおなじみの区切り方です。

ちずぬりえの塗りマスは、この第3次メッシュと同じ発想の 「緯度1/120度 × 経度1/80度」のグリッドです。日本付近ではこれがほぼ1km四方になります。 どこの1マスも同じルールで区切られているので、都会の1マスも山奥の1マスも 同じ価値。歩いた分だけ公平に地図が埋まります。

マスは「データ」ではなく「数式」でできている

おもしろいのは、このマスには境界データが存在しないことです。緯度・経度を決まった数で 割るだけでマスの位置が一意に決まるため、ちずぬりえは画面に映っている範囲のマス目を その場で計算して描いています。日本全国ぶんのマスの形をあらかじめ用意すると 膨大なデータ量になりますが、数式ならゼロ。だからこそ、 同じ仕組みのまま世界中どこでも塗れるようになっています。

ちなみに陸地だけで数えても、地球上には約1km四方のマスがおよそ2億個あります。 すべて塗り終えた人類はまだいません。

それでも市区町村は主役

塗りの単位はメッシュですが、「どこまで塗れたか」を実感させてくれるのはやはり 市区町村です。ちずぬりえでは、市区町村ごとに「その中に約1kmマスが何個あるか」を 数えておき、塗ったマス数との割合を「○○市 35%(n/N)」のように表示します。 100% に到達すればその市区町村を「制覇」。メッシュの公平さと、 行政区画の達成感。両方のいいとこ取りが、ちずぬりえの塗りの仕組みです。

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